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1910年にハレー彗星が起こした「人類滅亡騒動」

ひでたか

 元号が明治から大正に変わりつつあった1910年、ハレー彗星が76年ぶりに回帰しました。

 しかし、このとき「人類が滅亡する」という騒動が起きてしまったのです。


 この年のハレー彗星は、4月に近日点を通過後、5月19日に地球へ接近する軌道を取っていました。

 ところが、接近時の位置関係が問題でした。

 何と、最接近時に太陽と彗星と地球が一直線に並ぶことになったのです。

 彗星の尾は太陽の反対側に伸びるので、これは「彗星の尾の中に地球が入る」ということを意味しています。


 当時、彗星の尾にシアン化水素という物質が含まれているとわかっていたことが、騒ぎを起こしました。

 「尾に触れることで、地球に毒ガスが降り注いで人類が滅亡する」という、今から思えば信じがたい話が出たのです。

 さらに、「地球の空気をみんな持っていってしまう」という話までありました。


 ここからが大変です。

 人々の間に、とんでもないパニックが起こりました。

 「どうせ世界が滅びるなら」ということで、全財産使い果たしてしまった人や、自殺する人まで出ました。

 「息を止めていれば助かる」ということから、自転車のチューブがとんでもなく売れるという珍現象まで起きたのです。

 2020年のコロナ騒動でマスクなどが品切れになったのと同じようなことが、当時も起こりました。


 そして迎えた5月19日。

 ハレー彗星は、何事もなかったかのように地球と太陽の間を通過しました。

 彗星の尾のガスは薄かったので、地球には何の影響もありませんでした。

 人類滅亡はなかったのです。

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